都内で唯一の、
硯工房。
宝研堂は、お店の奥に小さな工房を構えています。 硯を彫る職人 ―― 製硯師の仕事を、東京で続けている数少ないお店です。
硯は、いま、
彫る人がほとんどいない。
硯は、もともと中国から伝わった道具で、いまも中国の端渓・歙州などの硯石が 最高峰とされています。日本国内でも山口の赤間、山梨の雨畑など産地はありますが、 「硯石を選び、自分の手で彫る」職人は、いまや全国でも数えるほどです。
東京都内に限れば、自社の工房で硯を彫り続けているのは、宝研堂が唯一とお聞きします。 その背景には、書道人口の変化、石の入手の難しさ、職人の世代交代など、いくつもの理由が重なっています。
それでも私たちは、硯を売るだけではなく、彫る・直す・整えるところまで、 自分たちの手で続けることを、お店の柱として大切にしてきました。
一面の硯が、できるまで。
— STEP 01
石の見立て
硯石の塊を見て、内部の石眼や石紋、ひび、固さを推し量ります。 この石をどんな形に彫るか、どこを墨堂にするかを、ここで決めます。
— STEP 02
粗(あら)取り
石の不要な部分を大きく落として、硯の外形を起こします。 のみ・タガネ・砥石を使い分け、余分を少しずつ削っていきます。
— STEP 03
墨堂を彫る
墨を擦る平らな部分(墨堂)を、すり鉢の底のように、ごく緩やかに削ります。 この曲率が、墨の下りやすさを決めます。
— STEP 04
池(いけ)を切る
擦った墨液をためる溝(池)を切ります。 墨堂とのつなぎを丁寧に整えると、墨液の流れがきれいになります。
— STEP 05
縁・側面・裏
縁取り、側面の面取り、裏の銘の刻みを進めます。 装飾を施すか、無地で仕立てるかも、ここで決まっていきます。
— STEP 06
磨きと仕上げ
細目の砥石で順に磨き、墨堂の鋒鋩(ほうぼう/墨を下ろす微細な刃)を立てます。 最後に水で洗って、銘を朱で入れたら、完成です。
硯は、直して、
何代も使う道具です。
お祖父さまから受け継いだ硯の縁が欠けた、墨が下りにくくなった、 銘を入れ替えたい ―― そんなご相談を、全国からお受けしています。
硯は、お手入れさえすれば、本来は何代でも使い続けられる道具です。 硯石の状態を拝見して、できるだけ元の姿を活かしたかたちで、お直しいたします。
工房のご見学・
実演のご案内
お店にお越しいただいたお客様には、ご相談の流れで工房の様子をご覧いただいています。 書道教室・大学・博物館・海外からの団体ご見学のご相談も、事前にお電話でご予約ください。
TEL 03-3844-2976